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BH3

 Raspberry Piを使えば、IoT端末やデータ収集装置、簡易ゲートウェイなどのプロトタイプを比較的短期間で開発できます。

 一方で、いざそれを工場や設備などの実際の現場へ導入しようとすると、電源、ノイズ、突然の電源断、熱、長期安定稼働など、試作段階では見えにくかった課題が出てきます。

そこで注目したいのが、ノイルテックス株式会社のBH3です。

 BH3は、Raspberry Piで開発したソフトウェア資産を活かしながら、産業用途で求められる安定性や運用性を高めることを考慮したハードウェアです。

 今回は、BH3を中心に、その特長と「普通のRaspberry Piを使う場合との違い」を整理してみます。


■ BH3とは?

コンセプトを一言で表現するなら、

「Raspberry Piの開発資産を活かしながら、現場運用に必要な信頼性を補強する」

という製品です。

Raspberry Piの使いやすさを活かしながら、

  • 電源対策
  • ノイズ対策
  • WDT(Watchdog Timer)
  • 放熱対策
  • サージ・静電気対策
  • 突然の電源断への対策

など、産業用途で課題になりやすいポイントの対策が施されています。

 「Raspberry PiでPoCはできた。しかし、この構成のまま工場に置いて大丈夫だろうか?」

 そんなPoCから実運用への移行を考える際に、検討しやすい製品と言えるでしょう。


■ 特長① Raspberry Piのソフトウェア資産を活用

 BH3のポイントの一つは、Raspberry Piをベースに開発してきたソフトウェア資産を活用しやすいことです。

 一般的にPoCでRaspberry Piを使ったあと、量産や実運用のために別の産業用コンピュータへ変更すると、

  • OSが変わる
  • I/O仕様が変わる
  • ドライバが変わる
  • アプリケーションの修正が発生する

といった問題が起こることがあります。

 BH3では、こうした「試作から本番への壁」をできるだけ低くすることが重要なポイントになっています。

イメージとしては、

PoC:Raspberry Pi
↓
実証実験
↓
現場運用:BH3

という流れです。


■ 特長② 現場運用を考慮した電源設計

 Raspberry Piをフィールドで利用する場合、CPU性能以上に気を付けたいのが電源の安定性です。

 BH3では内部にレギュレータを搭載し、独自の電源回路からRaspberry Pi側へ電源を供給する構成を採用しています。

デスクの上で動かす試作機と異なり、

「無人で長時間動かし続ける」

 ことが求められるIoTやFA用途では、電源周りは非常に重要なポイントです。


■ 特長③ ノイズ・静電気対策

工場設備の周辺には、

  • モーター
  • インバーター
  • リレー
  • 大型電源
  • 各種制御装置

などが存在し、一般的なオフィスとは電気的な環境が大きく異なります。

 BH3では金属ケースやグランド処理などによるノイズ対策も考慮されています。

「Raspberry Piで動くか?」だけではなく、

「実際の設置環境で安定して動かせるか?」

 という部分まで考える必要があることは、産業用途では重要なポイントでしょう。


■ 特長④ WDTによるハングアップ対策

 遠隔地や無人設備にコンピュータを設置すると、困るのがシステムのフリーズです。

オフィスなら電源を入れ直せば済む話でも、設置場所が遠隔地の場合は、

「再起動するためだけに現地へ行く」

ことにもなりかねません。

 BH3では、Raspberry PiのSoCに搭載されているWDT(Watchdog Timer)を活用し、CPUが正常に動作しなくなった場合にシステムを再起動させる仕組みが用意されています。

IoTではCPU性能だけでなく、こうした障害発生時の復旧方法も重要です。


■ 特長⑤ 突然の電源断への対策

 BH3で注目したい機能が、コンデンサを利用した電源断対策です。

 Linuxベースの機器では、動作中に突然電源が切れると、ファイルシステムやMicro SDカードなどに問題が発生するリスクがあります。

特に工場設備では、

「設備の主電源を落としたら、接続されている機器も一斉に電源OFF」

という運用も珍しくありません。

 そこでBH3では、大容量コンデンサを利用して電源断を検知し、安全にシャットダウンするための時間を確保する仕組みが採用されています。

 これは一般的なモバイルバッテリー型のUPSとは少し違った、組込み機器らしいアプローチです。


■ RTCなど、産業用途で便利な機能

 IoTシステムを無人で動作させる場合、意外と重要なのがRTC(リアルタイムクロック)です。

データロガーや設備監視システムの場合、

「いつ発生したデータなのか」

が非常に重要だからです。

 BH3ではRTCを搭載するほか、GPIOなどRaspberry Pi由来のインターフェースを活用できます。

 さらに筐体を含めてシステム化されているため、基板単体のRaspberry Piとは異なり、装置として設置することを意識した構成になっています。


■ BH3の主な仕様

BH3は、Raspberry Pi 3をベースとしたモデルです。

主な仕様をまとめると以下のようになります。

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BH3仕様

■ BH3はどんな用途に向いている?

BH3のコンセプトを考えると、特に興味深いのは、

「Raspberry PiでPoCまでは完成した。でも、そのまま現場へ設置するのは少し不安」

というケースです。

例えば、

🏭 FA・製造現場

  • 設備データ収集
  • 稼働監視
  • PLC周辺のデータ処理
  • センサーデータ収集

🌐 IoT

  • IoTゲートウェイ
  • リモート監視
  • センサーノード
  • データロガー

🖥️ エッジコンピューティング

  • エッジ側でのデータ前処理
  • プロトコル変換
  • クラウドへのデータ連携

🔧 Raspberry Piベース製品の実用化

  • Raspberry Piで作ったPoCの実用化
  • 社内設備への組込み
  • 専用IoT機器への展開

といった用途が考えられます。


■ 「性能」だけでは見えない産業用コンピュータの選び方

産業用PCやエッジコンピュータを比較すると、どうしても

CPU性能、メモリ容量、ストレージ容量

といった数字に目が行きます。

しかし実際のフィールドでは、

電源が落ちたらどうなるのか?

システムがフリーズしたらどう復旧するのか?

ノイズ源の近くでも問題ないのか?

数年間運用する場合にどう保守するのか?

といったスペック表だけでは見えにくいポイントが重要になります。

 ノイルテックス BH3は、単純に「高性能なRaspberry Pi互換機」を目指したものというより、

Raspberry Piで作ったシステムを、どうやって実際の現場へ持っていくか

 という課題にアプローチした製品として見ると、非常に分かりやすいのではないでしょうか。


製品詳細:ノイルテックス株式会社 BHシリーズ公式ページをご確認ください。

※上記メーカー公式ページに掲載が御座いますBH2につきましては、既に廃番となっております。

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