工場やインフラ設備では、PLC、センサー、メーター、制御機器など、メーカーや世代、通信プロトコルの異なる機器が混在しています。その結果、せっかくの設備データが個々のシステムに閉じ込められ、十分に活用できないケースがあります。

 E2C Trinityは、こうした現場設備とSCADA、MES、ERP、BMS、クラウドなどの上位システムとの間をつなぐ、ロバステルのオペレーショナル・エッジ・プラットフォームです。

 既存のPLCやSCADAなどを置き換えるのではなく、対応するロバステルのゲートウェイ上にエッジ層を追加し、データ収集・処理・保存・可視化・システム連携・制御を一つの共通アーキテクチャで実現することを狙っています。

 E2C Trinityは、RobustOS Proを搭載したエッジゲートウェイ上で稼働し、PLC・センサーなどのOTデータを現場側で収集・処理・可視化し、上位システムへ連携するためのソフトウェア基盤です。

E2C Trinityの「6C」

E2C Trinityの機能は、6つの「C」で整理されています。

1. Collect:収集

 メーカーやプロトコルの異なるフィールド機器からデータを収集し、共通のデータ基盤を構築します。

2. Compute:処理

 収集したデータをクラウドへそのまま送るだけでなく、ルール、Node-RED、スクリプト、アプリケーションなどを利用して現場側で処理できます。

3. Continuity:継続性

 ネットワークに障害が発生した場合でも、ローカルストレージやStore-and-Forwardによってデータを保持し、通信回復後の転送に対応します。

4. Canvas:可視化

 Edge SCADA、ダッシュボード、履歴トレンドなどを利用して、設備の状態を現場側で可視化できます。

5. Connect:接続

 OTだけでなくITやクラウドとも連携し、収集したデータをSCADA、MES、BMS、クラウドなどへ受け渡します。

6. Control:制御

 単なるモニタリングだけでなく、管理されたローカルワークフローや双方向通信にも対応します。

 つまり、E2C Trinityは「機器をクラウドにつなぐためだけのIoTゲートウェイ」ではなく、現場データを収集して、その場で処理・蓄積・可視化し、必要なシステムへ連携するためのエッジ基盤と捉えると分かりやすいでしょう。

E2C Trinityの産業向けアプリケーション「E2C Factory」

 E2C Factoryは、製造業、装置メーカー、プロセス産業、産業オートメーションを主な対象とするアプリケーションです。特に既存設備を活かしたブラウンフィールド環境でのデータ統合、Edge SCADA、OEE、OT/IT連携などに重点が置かれています。

E2C Factoryでできること

① 異なるメーカーのPLC・設備データをまとめて収集

 E2C FactoryはModbus、OPC UAをはじめ、Siemens、Mitsubishi、Omron、Allen-Bradley、Keyence、Panasonicなど、さまざまな産業用機器・プロトコルに対応しています。

 既存設備を全面的に更新するのではなく、その間にエッジ層を追加することで、異なる設備からのデータを統合できることが大きな特長です。

② エッジ側でデータを加工・判断

取得したデータは、そのままクラウドへ転送するだけではありません。

 Scenario Management、JavaScript、Node-RED、コンテナ、カスタムアプリケーションなどを利用し、フィルタリング、データ変換、イベント処理、制御などをローカル側で実行できます。

 そのため、すべてのデータ処理をクラウドへ依存しないエッジコンピューティング環境を構築できます。

③ データをローカル保存

 ローカルテーブル、アーカイブ、データ保持、オフラインバッファリング、Store-and-Forwardなどのデータ管理機能を備えています。

 ネットワークが不安定な環境でもデータを保持し、クラウドへの通信量を抑える用途にも利用できます。

④ アラームを管理・通知

 閾値などのルールに基づいてアラームを生成し、重大度、確認、履歴を管理できます。

 さらにEmail、SMS、Telegram、WhatsApp、WeComなど複数の通知手段が用意されています。

⑤ Edge SCADAで設備を可視化

 ブラウザベースのEdge SCADAを備えており、画面、トレンド、アラーム、テンプレート、権限などを利用して設備の状態を可視化できす。

 特に小規模拠点や分散した設備では、ゲートウェイ上に可視化環境を持たせることで、追加のサーバーやクライアントソフトウェアを減らせることがメリットとして挙げられています。

⑥ OEE(設備総合効率)を分析

 Proエディションでは、OEE(Overall Equipment Effectiveness / 設備総合効率)にも対応しています。

 可用性(Availability)、性能(Performance)、品質(Quality)を分析できるため、単なる「設備データの取得・監視」から、生産ロスの分析や継続的な生産改善まで用途を広げることができます。

⑦ OT・IT・クラウドと連携

上位側のインターフェースとして、以下のルールなどに対応しています。

  • MQTT / TLS
  • HTTPS / REST
  • Sparkplug B
  • OPC UA Server
  • Modbus TCP Slave
  • BACnet/IP Server

 これにより、SCADA、MES、EMS、BMS、クラウドなどへ現場データを連携できます。MQTTについてはAWS IoTやAzure IoTとの互換性も明記されています。

どのような現場に向いているのか?

E2C Factoryは、特に次のようなケースを想定しています。

  • 既存設備を活かしながら工場のDX / データ活用を進めたい製造業
  • 複数メーカーのPLCや設備が混在している工場
  • 装置に遠隔監視・診断などのデジタルサービスを追加したい機械・装置メーカー
  • 複数メーカーの設備を共通のエッジアーキテクチャで扱いたいシステムインテグレーター
  • 通信が不安定な環境でも、現場側でデータ保存やロジックを継続したい設備
  • PLC / SCADAとMES・ERP・クラウドなどを連携させたい環境

E2C Trinity × E2C Factoryを簡単に言うと

両者の関係を整理すると、

E2C Trinity = 共通のエッジプラットフォーム
E2C Factory = その上で動作する、工場・産業オートメーション向けアプリケーション

という位置付けです。

 従来の「設備 → ゲートウェイ → クラウド」という単純なデータ転送だけではなく、

設備・PLC
↓
データ収集
↓
エッジ処理・ロジック
↓
保存・アラーム・可視化・OEE
↓
SCADA / MES / ERP / BMS / クラウド

 までを現場側でつなぐことが、E2C TrinityとE2C Factoryの大きな特長です。既存のPLC、機械、SCADAを置き換えずに、その間へエッジ統合レイヤーを追加するという考え方が基本になっています。

参考